研究概要 |
分子標識付加複合体を用いて迅速精製を行う条件を精査するために、RnfDとRnfEの膜配向性について、12年度に引き続きPhoA融合法を用いて検討を加えた。この結果、RnfDはN末端を細胞質側に露出する8同膜貫通であり、148〜207と256〜316残基目の比較的大きな領域をペリプラズ\側に露出すると推定された。RnfEはRnfAと同様に6回膜を貫通するが、全く逆の配向性を持つと判断された。RnfA, RnfD, RnfEの産物のカルボキシル末端に、それぞれ、His-Tag, Myc-TagとHA-Tagを付加しつつある。 phoA融合遺伝子作製中にこれまでに報告されていたrnfDの塩基配列に誤りを見つけため、rnf遺伝子群とその下流の塩基配列の再決定したところ、rnfE下流に複数のorfが見つかった。in vitroのミニトランスポゾン挿入実験で、プラスミド上のこれらのorf内へ薬剤耐性遺伝子を挿入したものを得た後、相同組み換えで変異株を作製した。各株の窒素固定形質を調べた結果、rnfEのすぐ下流に存在するorfが、窒素固定に必須な新規rnf遺伝子であることが判明した。rnfIと名付けたこの遺伝子の産物はflavocytochrome c sulfide dehydrogenaseのフラビン結合サブユニット(FCSD FAD-Subunit)の類似物をコードしていたが、FCSD間では保存されているFADを共有結合するCys残基は保存されていなかった。但し、アミノ亦[に分泌シグナル配列を持ち、FCSD同様にペリプラズムに存在すると推定された。やはり。ペリプラズムヘの比較的大きな露出部を持つRnfDとの相互作用を含め、Rnf産物間の相互作用は膜貫通サブ複合体の構成を考える上で重要な意味を持つと思われる。
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