研究課題/領域番号 |
11440237
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
笠毛 邦弘 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (20294449)
|
研究分担者 |
且原 真木 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00211847)
柴坂 三根夫 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60226165)
|
キーワード | 液胞膜 / プロトンポンプ / 再構成膜 / 膜の流動性 / プロトン輸送 / 低温ストレス / 糖脂質 |
研究概要 |
我々は、低温ストレスにより植物の液胞膜プロトンポンプ活性が著しく低下し、このことが低温ストレスの引き金になることをすでに報告している。そこでどのような機構で低温ストレスによる細胞障害が起こるかを生体膜脂質分子とプロトンポンプ分子との相互作用を直接的かつ単純な系で解析するために、再構成膜小胞を構築することによって明らかにすることにした。 低温処理及び未処理のイネの低温耐性の弱い培養細胞の液胞膜から抽出したリン脂質、糖脂質、中性脂質を一定の割合で混合したリポゾームに、低温未処理のイネの低温耐性の強い培養細胞から精製した液胞膜H^+-ATPaseを取り込ませたキメラ再構成膜小胞ならびに低温処理及び未処理のイネの低温耐性の弱い培養細胞から精製した液胞膜H^+-ATPaseをリン脂質(アソレクチン)リポゾームに導入したキメラ再構成膜を構築し、それらキメラ再構成膜を介してのプロトン輸送能ならびにそれら膜の流動性を測定した。 その結界低温処理によって生じる液胞膜を介してのプロトン輸送の低下は、直接液胞膜H^+-ATPase分子によるものではなく、液胞膜H^+-ATPaseを取りまく糖脂質(グルコセレブロシド、アシルステリルグルコシド)の量的及び質的変化によって液胞膜表層の流動性を低下させることによって起こることを明らかにした。特にアシルステリルグルコシドの場合、ステリルグルコシドではプロトン輸送能を低下させないことから、液胞膜によって起こるステリルグルコシドのアシル化の過程が液胞膜を介してのプロトン輸送能の低下と深く関わっていると思われる。
|