細胞板の材料はゴルジ小胞によって分裂面に運ばれる。ゴルジ小胞はここで融合して細胞板を形成する。キシログルカン抗体を用いた予備実験でmetaphaseからanaphaseにかけてゴルジ小胞が集積されることを観察していたので、この時期に細胞を同調化し、ゴルジ小胞の単離を行った。BY-2細胞をプロトプラスト化し、破砕、段階的遠心分離、密度勾配遠心などにより膜小胞分画を得た。ゴルジ小胞の特定はXG抗体によるドットブロット法で行った。その結果、微細構造的にほぼ均一と思われる膜小胞分画を得た。細胞膜ゴーストを用いた蛍光抗体染色および免疫電顕でXGを含む小胞が微小管に結合していることが示唆されていたので、BY-2細胞より微小管を調整して、単離膜小胞との結合を見た。その結果、一部の膜小胞が微小管に結合することがわかった。したがって、形態学的には細胞内構造が試験管内で再構成されたといえる。ただし、今のところ、この系において微小管依存的なゴルジ小胞の輸送や融合を再現できるかどうかは不明である。再現できればこの系を用いてそれらの分子機構を調べる予定である。また、初期細胞板成分を同定するためにゴルジ小胞分画を抗原として抗体作製の準備中である。一方、propyzamide存在下で長時間培養し、細胞板様構造を作らせ、これを単離することも行った。プロトプラストを機械的に破砕し、遠心分画したが、分散しやすい構造で純化したものを大量に得るまでには至っていない。
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