研究課題/領域番号 |
11440244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
道端 齋 広島大学, 理学部, 教授 (00111740)
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研究分担者 |
植木 龍也 広島大学, 理学部, 助手 (10274705)
宇山 太郎 広島大学, 理学部, 講師 (60232914)
金森 寛 富山大学, 理学部, 教授 (00019001)
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キーワード | ホヤ / バナジウム / 金属濃縮 / 酸化還元 / 組み換えタンパク質 / 遺伝子クローニング / 金属結合タンパク質 |
研究概要 |
ホヤは高濃度かつ高選択的にバナジウムを濃縮している。その濃度は海水のバナジウム濃度の1,000万倍に相当する350mM濃度に達し、濃縮されたバナジウムは生体には稀な三価に還元されている。この特異な生理機能を担っているのは、バナジウム濃縮細胞(バナドサイト)である。バナジウムの濃縮機構と(B)還元機構を解明するため次のような目標を設定して研究を推進した。 (A)濃縮機構の解明:ホヤがどのような機構で多くの金属イオンが溶解している海水中から、特定の金属イオンと結合し得るのかを検討するため、バナジウム結合タンパク質(VAPs)のバナジウム結合能を5価と4価のバナジウムについて平衡透析法によって調べたところ、VAPの5価バナジウムとの最大結合数は18-20原子/mol、4価バナジウムとは12原子/molと非常に高い結合数を有することが明らかになった。15kDaと16kDaのVAPについては、cDNAのコード領域をPCRによって増幅し、マルトース結合タンパク質(MBP)を発現するpMAL-cベクターに挿入して発現プラスミドを構築した。この発現プラスミドを大腸菌TB1株に導入し、VAPとMBPとの組み換えタンパク質を合成した。さらに、MBPと親和性を持つアミロースレジンによって組み換えタンパク質を精製し、バナジウムとの親和性を調べる実験系を構築した。 (B)還元機構の解明:五価から四価さらに三価への還元カスケードを明らかにするために、NADPHが五価のバナジウムを直接還元する可能性を検討した。 その結果、NADPHは酸素存在の条件下で五価から四価へ還元すること見出した。また、過剰なプロトン(H+)の存在下ではNADPHによるバナジウムの還元が速やかに進むことを見いだし、バナドサイトの液胞に含まれる高濃度のプロトンがこの還元反応に関与する可能性を指摘した。
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