研究課題/領域番号 |
11440246
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 哲明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60192770)
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研究分担者 |
高宮 正之 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70179555)
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キーワード | rbcL遺伝子 / 染色体数 / 生育環境 / 交配実験 / シマオオタニワタリ / シマシロヤマシダ / ナチシケシダ / スジヒトツバ |
研究概要 |
平成12年度には、平成11年度の予備調査でrbcLに大きな変異が見出された形態種のより詳細なrbcL遺伝子の多型解析と外部形態、生育環境、細胞学的解析、交配実験に力を注いだ。具体的には、シマシマオオタニ類、ゼンマイ類、シケシダ類、シロヤマシダ類、スジヒトツバについて特にrbcLに大きな変異が見出されているので、これらの群の詳細な解析を行った。 シマオオタニワタリ類に関しては異所的なもの間の交配実験に力を入れて解析を行った。その結果、rbcLが大きく(15塩基以上)異なるものでは、異所的なものの間でも、F1雑種ができないような生殖的隔離があることが明らかになった。逆にrbcLが似たもの同士は、場所が違っても似た環境に生育しており、それぞれのrbcLタイプが独自の生育環境をもつこともわかった。したがって、これらは生物学的に別種であると結論した。結果は論文にまとめ、アメリカ植物学会誌(Am.J.Bot.)に受理されている。 ゼンマイ類には関しては、異なるrbcLタイプ間の交配実験の結果、F1雑種が得られた。そこで、これらについてはF1雑種の稔性を調べるために、長期的に栽培しているところである。 シケシダ類とシロヤマシダ類については、細胞学的観察に力を入れてrbcL遺伝子の解析結果と比較する形で研究を行った。その結果、従来、ナチシケシダ、シマシロヤマシダと呼ばれてきたものの中に倍数性とrbcL遺伝子の塩基配列が相関する形で異なる複数の型が見出された。詳しく比較してみたところ、形態や生育環境にも分化がみられることがわかった。シマシロヤマシダの解析結果については論文にまとめ、Int.J.Plant Sci.2001年3月号に掲載予定である。 そのほか、スジヒトツバでも、rbcLの塩基配列の異なる2つの型が、形態、生育環境(高度)と対応していることが明らかになった。結果をまとめた論文は、Blumeaに受理されている。
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