研究課題/領域番号 |
11440248
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
徳永 勝士 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40163977)
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研究分担者 |
稲岡 司 熊本大学, 医学部, 講師 (60176386)
石田 貴文 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20184533)
大塚 柳太郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60010071)
大橋 順 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80301141)
中澤 港 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40251227)
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キーワード | マラリア / バンド3タンパク / G6PD欠損症 / HLA / TNFα / パプアニューギニア / タイ / ダフィー血液型抗原 |
研究概要 |
(1)パプアニューギニア島民を対象に、バンド3タンパクの変異遺伝子のスクリーニングを行った。この変異遺伝子は、熱帯熱マラリアに対する抵抗性を示す反面、卵形赤血球症を引き起こすことが知られている。パプアニューギニア島における対立遺伝子頻度分布は、オーストロネシア語族の分布とよく対応していた。この結果は、オーストロネシア語族の祖先集団が変異遺伝子を既に保有しており、オーストロネシア語族がオセアニアに拡散した後は、各集団において変異遺伝子がマラリア抵抗性に関連する自然淘汰(超優性淘汰)によって維持されてきた可能性を示唆している。 (2)マラリア抵抗性遺伝形質の一つであるG6PD欠損症のスクリーニングを、これまで未調査であったアジア・オセアニアの複数の地域において行ない、いくつかの高頻度欠損集団を同定した。 (3)マラリア罹患率の高いラウテ(ネパール少数民族)において、マラリア抵抗性と関連するダフィー血液型抗原のスクリーニングを行い対立遺伝子頻度を決定した。他のアジア系集団と比較し、ラウテにおけるFya対立遺伝子の頻度が低いことが明らかとなった。また、弱反応性抗原の存在を示唆する結果が得られたことから、現在、抗原の同定を試みている。 (4)パプアニューギニアに居住するギデラ族のHLA-DRB1遺伝子の多型解析を行った。マラリアに対し抵抗性を示すHLA-DRB1対立遺伝子がアフリカ集団において報告されているが、ギデラ族のマラリア罹患率の高い村において有意に増加している対立遺伝子は見出されなかった。 (5)タイ北西部において、重症マラリアとHLA-DRB1遺伝子およびTNFaプロモーター多型との関連研究により、重症マラリア性貧血患者群に対し、脳性マラリア患者群において高頻度に観察される対立遺伝子を同定した(投稿準備中) (6)微生物環境に対するヒトの適応状態を把握すべく、東南アジア(タイ)およびオセアニア(パプアニューギニア島)において栄養調査を行ない、栄養状態の季節変動や近代化による栄養状態の変化などを明らかにした。
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