研究課題/領域番号 |
11440249
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
茂原 信生 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20049208)
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研究分担者 |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
吾妻 健 高知医科大学, 医学部, 教授 (40117031)
相見 満 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50101241)
松井 章 奈良文化財研究所, 主任研究官 (20157225)
黒田 末寿 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (80153419)
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キーワード | ニホンザル / 後氷期 / 分布 / 更新世 / 地方変異 / DNA / 歯の形態 / 古代遺跡 |
研究概要 |
古代遺跡出土のニホンザル骨の分析 前年度の調査に加えて、福井県の鳥浜貝塚や長野県の湯倉洞窟、あるいは千葉県の大坪貝塚や神奈川県の青ヶ台貝塚などから出土したニホンザルを追加して、形態学的な観察を行った。ニホンザルを出土した遺跡の分析では、最終的な結果を得て、遺跡の地域的な分布図、ならびに時代的な分布図を作成した。縄文時代との比較という意味で、更新世のニホンザルについての集中的な調査を行い、ニホンザルの起源についての考察を加えた。DNA分析資料は、可能な限り収集・分析している。とくに、ニホンザルの南での分布のカギとなる種子島の遺跡出土のニホンザルを収集し、分析した。 現生ニホンザル資料の分析 長野県や島根県を中心とする各地域集団の野生ニホンザルの資料を収集、データ採取を継続した。これらの頭蓋骨の計測し、分析した結果を得ている。遺伝子解析では、今年度は岐阜県、愛媛県、三重県等、これまでに十分な情報が得られていない地域のサルについて、調査を進めた。ミトコンドリア遺伝子変異について、ニホンザル生息地のほぼ全域をカバーする結果が得られたので、7月に霊長類学会大会で成果を公表した。昨年度までの結果に加わる知見としては、紀伊半島から琵琶湖までに生息するサルが他地域と容易に区別できる遺伝子タイプをもつこと、それらの遺伝子タイプは琵琶湖南部から東部の一帯で他の東日本タイプと接所的分布を示すことが挙げられる。この観察結果は、近畿圏のサルの成立について、紀伊半島部と本州脊梁山脈部のサルたちが母系でみると別系統で、群分裂を介した分布拡大ルートの接点があることを示している。
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