研究概要 |
本年度は以下の実績を得た。 1.埋め込まれた金属をショットキーコレクタとするヘテロ接合バイポーラトンジスタ動作の確認 InP MOVPEでタングステン細線を埋め込んだ後にヘテロ接合バイポーラトランジスタ用構造を形成し、トランジスタとして動作させることで、金属上にラテラル成長した化合物半導体の評価を行った。全面メッシュ状埋込み金属をコレクタとし、大きな(50μm×50μm)エミッタ構造を持つ構造及び小さな(2μm×10μm)エミッタ直下のみに細線を形成した構造の両者を作製し、その両者で10以上の電流利得を観測し、良好な結晶性を確認した。 2.タングステン細線のGaAs MOVPEでの原料依存性/成長条件依存性 GaAs MOVPEでの原料依存性/成長条件依存性を明らかにした。タングステンが埋め込まれるまでは、原料としてトリエチルガリウムが優れ、異常核成長が出ない範囲でマイグレーションを抑制した条件が良く、埋め込まれた後の平坦性の為には原料としてトリメチルガリウムが優れ、マイグレーションを促進する条件が優れていることを示した。また、全面メッシュ状埋込み金属をコレクタとするGaAs系ヘテロ接合バイポーラトランジスタを作製し、通常成長の場合と同程度の電流利得を観測し、良好な結晶性を確認した。 3.微細タングステン細線の抵抗評価 上記1,2の結果から、細線で形成したタングステンの抵抗値の高さが問題となった。そこで、その原因を調べた結果、細線形成ではなく、作製時の温度によって大きくその抵抗値が劣化し、逆に言えば、作製時の温度を上げることで、抵抗値を下げることが出来ることを示した。今後アスペクト比の向上と併せて新プロセスの開発を行う必要があることが判明した。
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