低抵抗・高アスペクト比を持つタングステン細線の形成 電気的特性改善のために、スパッタ法によりバルク値の6倍まで低抵抗率化されたタングステン膜の形成と、電子ビーム露光法とリアクティブイオンエッチング(RIE)により、幅100nm、アスペクト比約1の細線形状を得ることを可能とした。 MOVPEでのタングステン細線埋込成長とHBTによるその結晶性評価 GaAsおよびInPにおけるタングステン細線のラテラル成長による埋込みの原料依存性/成長条件依存性を明らかにした。また、金属細線を埋め込んだ近傍での結晶性も、その上に作製したヘテロ接合バイポーラトランジスタの十分な電流利得から、良好で有ることを明らかにした。さらにInP系においてはサブミクロンサイズの微細なトランジスタの高周波特性を通して、界面近傍の電気的評価を行った。その結果、埋め込み成長温度によって、金属細線近傍の電気的特性が変わることが明らかになった。これは、タングステンワイヤから不純物が拡散してキャリアを生成していると考えることが妥当であり、今後タングステンの純度の向上、埋め込み成長前の表面処理、埋め込み成長温度のさらなる低下等で低減できると考える。 金属細線をゲートとする新たなトランジスタ作製 二重障壁構造と埋込み金属細線を組みあわせることで、走行するキャリヤがホットエレクトロンとなり、アンドープ層のみを走行する新しいトランジスタ構造を作製した。半絶縁性基板を用いると共に、半導体層をエッチングすることによりフリースタンディングワイヤーで埋め込まれたゲート金属と電極用パッド間の配線することで、エミッターゲート間のリーク電流を低減化した。電圧一電流特性から、埋め込んだ金属細線のゲートによって引力ポテンシャルが形成できることが確認でき、この素子の将来性を示せた。
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