研究課題/領域番号 |
11450009
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
千川 圭吾 信州大学, 教育学部, 教授 (10231573)
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研究分担者 |
岡野 泰則 静岡大学, 工学部, 助教授 (90204007)
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キーワード | CZ-Si結晶 / 高温熱化学反応 / 熱物質移動現象 / 石英るつぼ / 酸素移動現象 / 酸素溶解速度 / マラニユニー対流 / 蒸発速度係数 |
研究概要 |
CZシリコン結晶成長中に石英るつぼ(SiO_2)から混入する酸素不純物の精密な濃度制御は、高品質な結晶作製のため、また今日の大口径化技術のためには必要不可欠とされている。そこでますます多様化する今日の実験操作環境に柔軟に対応できる酸素濃度制御技術の確立を目標として、実験と数値解析を駆使し、SiO_2-Si-SiO系における高温熱化学反応と熱・物質(酸素)移動機構の解明を行なった。 まず、CZシリコン結晶育成中の酸素移動に関する各移動プロセス(石英からの溶解、融液中の対流・拡散による移動、融液表面からの蒸発による移動)を分離・簡素化するべく、ドロップ法による実験法を確立し、その特徴を定量的に検証した。ドロップ法を用いて石英からの溶解速度を測定し、従来報告されている値と比べた結果、一桁以上も大きく正確な値を得ることができた。 続いて、酸素移動現象の視覚化を目的とした数値解析による検討を行なった。その際、シリコン融液表での酸素移動に関する新しい境界条件式を考案した。その結果、これまで説明できなかった実験結果を非常に精度良く説明できる解析コードの構築に成功した。また実験では実現できないような非常に小さなドロップや非常に速い蒸発速度を持つ実験条件に合わせた数値解析を行ない、酸素の溶解/融液内の移動/蒸発の3プロセス間の相互関係について詳しく調べた。ドロップ法の実験条件では蒸発プロセスが律速していることが明らかとなり、例えドロップの大きさを実験で実現できる限界の大きさ(半径1.5mm)のさらに1/10にまで小さくしても、蒸発プロセスが律速すると予想できた。溶解プロセスが律速になる条件を達成するためには蒸発速度をさらに20倍以上大きな条件を実現しなければならないことも分かった。
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