研究概要 |
ガスソース分子線エピタキシ(MBE)法により非晶質の石英ガラス基板上へ成長した多結晶GaNにおいて強いフォトルミネセンス(PL)発光が得られることを我々が見出したことに基づく研究である。昨年度はn形、p形の伝導形の制御もできることを確認した。多結晶GaNを用いて発光デバイスを作製できる可能性を示し、低価格、大面積の発光デバイスへの応用が期待される。今年度はまず、実際にp-n接合を持つ多結晶GaNを成長し、確かにダイオード特性を持つことを確認した。更に今年度は、各種の基板上に強い発光特性を示す多結晶GaN薄膜を成長することによる多機能・新機能の発現第1歩として、Mo,W,Ta,Nbの多結晶金属基板上にGaNを成長した。高速反射電子線回折(RHEED)、X線回折評価により、多結晶であることが確認された。この多結晶GaNからも強いPL発光が得られた。発光の温度依存性から金属上多結晶GaNのPL発光の起源は、励起子発光であることが確認された。成長条件によっては約90meVほど低エネルギー側にも発光ピークが観測され、ドナーアクセプターペア発光または立方晶GaNの混入によるものと考えられた。多結晶GaN/金属接合は、金属の種類により整流特性、または、オーミック特性を示した。これは、GaN、金属の仕事関数の相対関係により予想される特性であることが分かった。更に、BaSrTiO3酸化膜上に多結晶GaNを成長し、強いPL発光を観測した。
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