研究課題/領域番号 |
11450017
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 洋右 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00167181)
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研究分担者 |
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
薛 其坤 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90270826)
中山 幸仁 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50312640)
薛 其貞 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50323093)
櫻井 利夫 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20143539)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 局所仕事関数 / 表面ポテンシャル / 表面歪み |
研究概要 |
以前からの局所仕事関数の研究から、CuあるいはAuの(111)表面上に蒸着したPd上では、表面準位のエネルギーレベルが一層毎に高くなっていくことが予想されていたが、、このことを走査トンネル顕微鏡(STM)による定在波観察によって確認することができた。STMを用いて、CuあるいはAu表面上に蒸着したPdアイランド上での表面準位による定在波の周期を測定したところ、CuあるいはAu基板のそれに比べ長くなっていることがわかった。定在波の周期は表面電子準位のフェルミ準位での波数の逆数に比例することから、この実験結果は表面準位のエネルギー準位が上昇し、その結果フェルミ準位での波数が小さくなったことによると説明された。こうした表面準位のエネルギー準位の変化は、我々と共同研究で行っている第一原理に基づく数値計算の結果とも良く一致している。 また水素終端シリコン表面上でのアルカリ元素吸着における仕事関数現象に関する研究もSTMを用いて行った。水素終端表面は、試料処理中の環境の清浄度がその表面の性質に大きく影響を与えることから、これまではクリーンルームの中でしか準備することが出来ないとされてきた。しかしながら我々はフッ酸を含むエッチング溶液を加熱し液中に含まれる溶存酸素量を減らすことによって、欠陥濃度が1%以下でSTMによる観察にも十分耐えうるレベルの極めて清浄な水素終端表面の作成に成功した。この表面上にKやNaなどのアルカリ元素を吸着させ、その結合状態やクラスター形成過程をSTMにより観察したところ、これまでの7x7清浄表面の場合とは大きく異なり、水素終端表面上では特定のサイズを持つクラスター(Kの場合は3個)が形成され安定化することが判明した。この現象は、アルカリ原子が吸着により電気双極子を形成し互いに反発するとするこれまでのモデルとは相容れないものである。これらの実験結果を仕事関数測定結果と比較することによりアルカリ金属元素吸着による仕事関数減少のメカニズムに関する知見を得ることができた。
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