研究概要 |
局所蛍光X線分析法、MeVイオン散乱法、電気的特性評価法(TLM,Transmission Line Method)などを駆使して、近年需要の高いGaNと次世代半導体材料と期待されるダイヤモンドのコンタクト電極について、多くの新しい知見を得るとともに、安定な電極形成に向けての示唆、提言を行なった。 微小口径ガラスキャピラリーと平板分光結晶を組み合わせた簡易型蛍光X線分析装置を世界に先駆けて試作し、十分な検出感度、波長分解能を併せ持つことを示した。入射X線を〜10ミクロン径まで絞れるので、従来不可能であった金属/半導体界面のような微小領域にまで、蛍光X線分析法の利便性を適用できる。 GaNについて未解決の問題点は、良質なp型結晶が得られないこと、従って当然ながら、p-GaNへの安定な低抵抗のオーミック電極が得られていないことである。本研究では、p-GaNのドーパント、Mgの活性化率を〜1%以下に阻んでいる元凶の水素に着目し、種々の電極材料について水素の挙動と電気的特性の相関を観察した。その結果、Zr,Pdなど水素との親和性のある金属はGaN中の水素濃度を低減させること、しかし接触抵抗値はこれだけでは〜mΩ・□に止まり、実用的にはMgの不純物準位を浅くする何らかの方策(たとえば酸素の導入など)が必要であることを示唆した。 ディスプレー用電子エミッターなどへの応用が注目されているテトラヘドラル・アモルファス・カーボンではいかに効率よく電子をカーボン中に注入できるかが問題で、バックコンタクトの材料、成膜条件をパラメータとして、エミッション特性と界面構造の観察を行なった。十指に余る金属材料についてしらべたが、材料依存性はわずかしかなく、界面における相互拡散ないし凹凸が主としてエミッション特性を支配していることを明らかとした。
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