まず初めに干渉システムの更なる安定化を図るために半導体レーザの注入電流に対する帰還回路系を新たに作成した。これにより帰還回路のゲインを微調整して帰還を行うことが可能となり、半導体レーザに対する帰還ループの安定度を様々なゲイン値に対して測定した。結果として実験で使用しているフィゾー干渉系のミラー間隔を変化させた場合に最適な帰還ループのゲイン値を得ることができ、ミラー間隔d=8.6cmの場合における最適なゲイン値Gは2.1と比較的小さいことがわかった。また安定化にはゲイン値よりもビート信号波形の雑音を取り除くことの方がより重要で、雑音の少ないビート信号が得られればゲイン値による安定度の変化はそれほど大きくないこともわかった。 次に干渉計帰還ループを閉じた際に帰還回路での参照信号電圧を変化させて、干渉縞位相シフト安定性の測定を行った。帰還を行った際の半導体レーザの注入電流を微調整し、参照電圧信号のステップ電圧をゲイン値、干渉計ミラー間隔を含めて計算により求めることで安定した90゜位相シフトを行うことに成功した。この時位相シフト精度±2゜程度の安定度で位相シフトを行うことが可能となった。これにより4段階に位相シフトさせて干渉パターンをCCDカメラにて検出し、その2次元光強度分布測定を行った。 上記の実験により得られた結果を元に千渉縞解析用パソコンを導入し干渉縞走査システムを構成し90゜4段階干渉縞位相シフトを行い、干渉縞解析を行った。測定対象としては、Si基板、金蒸着ミラーなどを用いてその表面形状の測定を行い、表面上の微小な起伏等を測定できることが確かめられた。このことから金属面等の形状の高精度測定応用への可能性を確認した。今年度は当初の計画通りに研究が進行しており、次年度に向けての課題の洗い出しも順調に進んでいる。
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