研究概要 |
これまで量子力学やゲージ理論などの純粋な基礎物理学上の問題として研究されてきたべリーの幾何学的位相が3次元微細構造体の精密干渉計測という工学的応用の現実的問題において物体の表面形状の局所的勾配に関する有用な情報を与えることを理論と実験により示し,ベリー位相情報の工学的応用の可能性を開拓した.その具体的な内容は以下の通りである. 1.光子スピン方転位相の検出実験 微細3次元構造を持つ物体に円偏光を入射すると物体表面の局所的勾配に応じた波動ベクトルの向き(光子スピン方向)の変化に伴う「光子スピン方転位相」と呼ばれるベリー位相が出現することの実験的検証. 2.光学系中の光子スピン方転位相の計算コードの開発 結像系中の光学素子による光子スピン方向転換や偏光状態の変化を追跡しベリー位相を定量評価するための計算モデルとシミュレーションコードの開発. 3.ベリー位相と動的位相の分離技術の確立 物体表面の勾配情報を与える2次元ベリー位相像と物体表面までの距離情報を与える動的位相像を分離して精密検出する偏光ヘテロダイン干渉技術の開発. 4.3次元微細構造のベリー位相情報への変換技術の確立 物体の3次元微細構造の情報を2次元ベリー位相像に変換するための偏光制御型の干渉結像技術の開発. 5.ベリー位相干渉顕微鏡の試作 前記3.と4.の技術に基づく偏光制御ベリー位相干渉顕微鏡の設計・試作. 6.3次元微小物体のベリー位相像の観察 試作した偏光制御ベリー位相干渉顕微鏡による3次元微小物体のベリー位相像の観察と評価実験の実施.
|