研究概要 |
本年度は,研究申請書に記した研究のうち,Poisson方程式に対するSinc-Galerkin法に関して著しい進展があり,以下のような成果が得られた: 1.1次元Poisson方程式に対するSinc-Galerkin法の最適性 SINC関数近似に基づく数値計算アルゴリズムのうち,関数近似や(1次元)数値積分に関しては,その最適性が確立している.しかし,常微分方程式や偏微分方程式の境界値問題に対するアルゴリズム,すなわち,Sinc-Galerkin法に関してはそのような結果は皆無である.これに対して我々は,最も簡単な1次元Poisson方程式の境界値問題に対してSinc-Galerkin法の最適性を(完全ではないが)示した.その結果,一重指数関数型変数変換を用いたSinc-Galerkin法の誤差のオーダはexp(-c√<N>)で与えられ,それが限界であること,二重指数関数型変数変換を用いた場合,誤差のオーダはexp(-c'N/logN)で与えられ,それが限界であることが判明した. 2.多角形領域上のPoisson方程式に対する領域分割型Sinc-Galerkin法の開発 2次元Sinc-Galerkin法はそれが適用可能な領域は基本的に矩形領域に限られる.Bowers等は,Poisson方程式の場合に2次元Sinc-Galerkin法の適用可能領域を広げるため,矩形領域を重ねてできる領域を考え,その領域に対する領域分割型Sinc-Galerkin法を開発した.これに対して,我々は扇形領域を重ねてできる領域(すなわち多角形領域)上のPoisson方程式に対する領域分割型Sinc-Galerkin法を開発した.我々の方法では,まず,扇形領域を変数変換によって半無限帯状領域に変換し,その領域に2次元Sinc-Galerkin法を適用する.以後の領域分割法の考え方は従来の方法と同じである.
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