研究概要 |
本年度は2年計画の1年目であり、前期に(1)理論解析と(2)実験準備、後期に(3)縦波斜角入射測定と(4)横波偏り方向の測定を予定した。主な実績は以下の通りである。 1.斜角入射波の伝播特性の解析 異方性体中の弾性波の伝播解析に摂動法を適用し、組織異方性が多結晶モデルに基づく弱い直交異方性の場合に対して、縦波と横波の音速、及び横波の偏り方向と伝播方向の関係を明確な形に表示した。またこの結果に基づいて、音速と偏り方向に対する組織異方性と応力の効果を数値計算し、その特徴を明らかにした。これについては日本機械学会関西支部講演会(平成12年3月17日)で発表する予定である。 2.組織異方性による斜角入射縦波の音速変化の測定 鋼試料に縦波を斜角入射させ、反射波の伝播時間が伝播方向の方位角θ,φによって明確に変化すること、そしてこの伝播時間のφ依存性が上記1の関係式で良く説明されることを確かめた。また、反射波の経路とモード変換を考慮して、伝播時間の測定結果を縦波伝播時間と横波伝播時間に分離し、それぞれの伝播時間のθ依存性を明らかにするための基礎データを整理した。 以上は、当初予定の(1)〜(3)についての主要な成果であり、現在は、当初予定の(4)を重点にして測定を行っている。
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