| 研究概要 |
本研究の目的は,塑性変形に伴う結晶形態の変化をサブミクロン単位で計測できる装置を製作し,結晶内すべり変形および結晶方位回転に関する実験観察を行い,研究代表者が提案した結晶再構成運動理論に基づく弾/結晶粘塑性有限要素法による塑性変形誘起結晶構造解析手法の正当性を検証することにある.本結晶再構成運動理論は,結晶構造変化のダイナミックスを分子配座エネルギー極小化理論に基づいて説明するもので,生体超高分子材料の再構成運動の解析結果を基に展開した新しい結晶塑性理論である.本結晶再構成運動理論に基づく結晶塑性材料モデルを組み込んだ有限要素法解析手法によって,FCC単結晶板材の引張り変形解析を行い,同時に行う微視形態計測装置による変形中の結晶方位分布およびひずみの局所集中の進展に関する計測結果と比較を行い,本有限要素解析手法の有効性を確かめた.本年度の主要な研究成果は以下の2点である.(1)既存の島津社製SEMサーボ試験機のSEM内にOXFORD社製結晶方位解析装置(EBSD)式を組み込み,純アルミニウム単結晶に引張り塑性変形を加えた。そこで,塑性変形誘起された転位群,すべり帯,局所くびれ帯等の変形挙動,および結晶方位回転を計測した.(2)新たに提案した結晶再構成運動理論の検証とその新理論に基づく弾/結晶粒塑性有限要素法による塑性変形解析結果と実験結果との比較を行った.板材微小試験片の引張り塑性変形にともなうすべり帯の発生および結晶方位回転に関して定性的な一致を得た.
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