| 研究概要 |
金型の多くは複雑な曲面形状を有している.既存の金型加工用ソフトウェアは,処理速度や安定性,加工面の品質に問題が多く,このような複雑な金型を自動的に製作することができない.ソフトウェアの欠点を製造技術者の経験で補い,半マニュアル的な作業で加工を進めているのが現状である.金型加工のスキルレス化を実現するためには,これらの問題を解決し,既存のソフトウェアをより高速かつ高品質なものに改良する必要がある.初年度は,研究代表者と分担者がこれまで進めてきた研究の成果を整理し,今後の研究の基礎となる高性能な金型加工用ソフトウェアを実現することを目的に研究を進めた.その結果,以下にあげる成果を得た.
1.加工命令を安定に生成するためには,金型形状を精密に多面体化することが有効である.CGの分野で研究が進められている細分割曲面の考え方を,金型の形状生成に利用する技術を開発した.
2.金型加工用ソフトウェアの処理時間の大半は,工具の削り込み防止に費やされている.この処理をグラフィックスハードウェアの機能を用いることで高速化するアルゴリズムを開発した.
3.加工面の品質を改善する手法として,工具経路を自由曲線補間する技術が注目されている.この補間を金型表面の幾何的な特徴に基づいて行うことで,データを大幅に圧縮し加工を高速化する技術を開発した.
4.加工用ソフトウェアの性能を評価するために有効な,デスクトップタイプの3軸切削加工実験システムを試作した.
5.新しい金型の製造法として注目されている,金属シートに基づく積層造形用のソフトウェアとハードウェアを開発した.
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