研究概要 |
本研究の目的は,熟練した製造技術者の技能(スキル)なしで高品質な金型を製造するための,基盤となるソフトウェア技術を開発することである.平成12度は,研究代表者と分担者が昨年度までに開発した技術に基づいて,金型製造をスキルレスで行うために必要な,モデリング技術や解析技術の研究と開発をおこなった.その結果,以下に列挙するような成果を得ることができた. ・ 超高速なCAMプログラム:金型製造をスキルレス化するためには,工具経路の生成や検証などの処理を行うCAMプログラムの高速化が不可欠である.近年,高速化と低価格化の著しいグラフィックスハードウェアの機能を流用することで,CAMプログラムの処理速度を10〜100倍程度高速化する新技術を開発した(乾). ・ レーザ積層造形法の金型製造への適用:薄いシート状に固めた金属紛をレーザで焼結することで,任意の実体モデルを作成する技術を開発し,幾つかの基礎的な実験をおこなった.またレーザをスキャンさせる経路の計算アルゴリズムや,同一形状を従来の切削加工で製作する場合との速度比較を行った(前川). ・ 点群データに基づく自由曲面の構成法:複雑な意匠形状のモデリング技術の一つに,曲面形状の実体モデルを作成し,3次元スキャナーを用いてその表面を覆う点群をサンプリングし,曲面化する手法がある.点群から曲面形状を効率的に生成する技術を開発した(鈴木). ・ 5軸加工のための最適な工具姿勢の決定法:5軸加工では,工具の姿勢を変化させることで,従来の3軸加工よりも柔軟かつ高品質な加工が可能となる.与えられた形状を切削するために最適な工具姿勢を,効率的に算出するアルゴリズムを開発した(森重).
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