研究概要 |
本研究では、オプトエレクトロニクス精密部品、精密構造部品、電子部品などに多用されるガラス、セラミックス、半導体材料といった硬脆材料を対象に、今まで不可能とされてきた自由形状の穴あけ・溝入れ加工を2年間の研究期間で確立することを目的としている。従来のレーザ加工では、材料のレーザ光吸収特性に着目し、「レーザ光を吸収する材料ほどよく加工できる」という概念が存在していた。しかし、本研究で提案するレーザ加工法は、材料のレーザ光吸収特性のみではなく透過特性にも着目し、「レーザを吸収しない材料は、3次元微細加工ができる」という新しい概念を創出し得るものである。 本年は,加工実験装置の構築に重点を置き,YAGレーザ装置を購入し,3次元レーザ加工装置を完成させた.続いて,若干の基礎実験を行って,提案する加工法の可能性について検証を試みた. 提案する本加工法は次の通りである.すなわち,本来レーザを吸収しない材料に対して,加工初期にはレーザ吸収物質を材料表面に塗布して、材料除去と加工変質層の形成を誘発させる。その浅い加工穴底部には加工変質層が存在し、2パルス目からのレーザ光は変質層によって吸収されて材料除去が促進される。次に、レーザを別の方向から穴、溝の先端に照射する。この時、レーザはダメージを与えることなく材料素地中を透過し、穴や溝先端の加工変質層に吸収され加工が進行することが期待できる。構築した実験装置にて基礎実験を行った結果,加工の進行方向はレーザの入射してきた方向であり、入射方向を時々刻々変化させることで自由形状の加工が可能であることが判明した。
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