研究概要 |
情報ネットワークを用いた製品設計・生産におけるコラボレーションに関する研究要因を整理し,(1)コンカレント最適化,(2)コラボレーション,(3)設計解の創生という基本3課題の融合の基本構想を構築した. このためにまず製品に関わる分散型知識情報の管理手法としてオブジェクト指向を利用したマルチデータベースシステムを開発し,またその膨大な設計情報を統合するための手法として階層型遺伝的アルゴリズムの理論を確立した.さらにこのような分散環境におけるデータベースを効率的に活用するためにこのアルゴリズムを発展させることで,分散並列最適化システムの理論を確立した.またこのような知識の統合に際して諸特性間の競合・協調関係に着目した知識体系を構築することで,システムのグローバルな立場からの最適化を進めることが可能となった.一方で,設計に関わる複数の部門が協調してコンカレントに製品を開発するためのモデルを構築した.ここでの部門とは単に設計・開発者だけを指さしているのではなく,製品を利用するユーザーをも含めたものであり,したがってこのモデルは,ライフサイクルにわたる総合的なコラボレーションを行うための基礎理論となるものである.そして,このコラボレーションを進める上でのインフラストラクチャーとして,情報ネットワークを利用したマルチエージェントシステムを開発した. 以上により,製品に関する多分野にわたる情報を結び付け,統合するための基本的な方法論の枠組みを明らかにすることができた.
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