研究概要 |
大規模な製品の総合的な最適化を行うためには,企業の複数の部門にわたる知識や情報を統合的に管理し、最適解を導き出さなければならない.そこで情報ネットワークを利用した設計部門や生産部門の知識・情報管理および,統合的最適解の導出手法について研究を行った.まず,製品のラィフサイクル全体を統合的に評価し・最適な設計を行うための方法論を展開した.製品ライフサイクルに関わる諸要因の制約関係をマトリクスの形で明示化し,それを階層関係として表現した.この階層関係を用いた遺伝子表現による遺伝的アルゴリズムを構成し,効率的な最適設計解の探索を行うことができた.また,さらに,制約条件だけでなく,設計において向上させたいさまざまな評価特性の関係についても注目した.通常の設計プロセスではこれらの評価特性の関係をあいまいにしたまま作業を進めがちであるが,それぞれの関係を階層的に分割し,製品の各部位のコアとなる部分から設計を始め,徐々にそれらの関連を考慮しながら,製品全体の最適を行うという,ボトムアップ的な方法により大域的な多目的最適化が行うことが花王のであることがわかった.また,以上の方法を情報ネットワーク上で実現するために,分散した部門間の統合的な情報管理.設計最適化を行うための方法論を構築した.コンピュータをクラスタ的に並列運用し,互いの部門が連携的に協調し,製品の最適化をおこなうシステムを試作した.以上のシステムを融合することで,情報ネットワークを用いた製品設計・生産を協調的に行う基礎理論を確立することができた.
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