研究概要 |
平成11年度は,シリコンウェハ加工表面の赤外エバネセント場について基本特性の解析および基本光学系によるエバネセント光の検出実験を行い,以下の研究成果を得た. 1.シリコンウェハ加工表面赤外エバネセント場の解析モデルおよびマクスウエルの微分方程式を差分化し,時間領域で解く方法でもある有限差分時間領域法FDTD(Finite Difference Time Domain method)法を適用化することにより,赤外エバネセント場の3次元的分布を解析することを可能とする計算機シミュレーターの構築を行った. 2.赤外エバネセント場・解析シミュレータを利用して、表面層に存在するCOP欠陥による伝搬光の散乱状態と乱れた伝搬光によって形成される赤外エバネセント場および散乱場の特徴を調べ,シリコンプローブによる赤外エバネセント場の検出特性を明らかにした. 3.シリコンウェハ加工表面のナノメータオーダの領域に局在するエバネセント光の検出を実現するため,光学素子やアライメント調製機構および探針走査機構などについて検討し、シリコンウェハ加工表面赤外エバネセント場計測のための基本光学系の設計を行った。さらに,AFM探針を利用したエバネセント場検出プローブと伝播光集光対物レンズが一体化し,プローブの位置決めがナノメータオーダで行えるフィードバック型ピエゾアクチュエータを組み込んだエバネセント光検出ユニット,InGaAs赤外検出素子,ロックインアンプおよび超精密試料ステージから成る基本光学系を構築した. 4.試作した基本光学系を用いて,He-Neレーザによってプリズマ表面に形成されるエバネセント場を検出する基礎実験を行い,シリコンウェハ加工表面赤外エバネセント場の測定条件の検討を行った。
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