高輝度遠紫外レーザは次世代のリソグラフィ、光化学反応による物質のプロセンシングおよびレーザ核融合の分野での応用が期待されているが、その波長域で光を透過する材料が限定されること、その材料を高精度に加工する技術が確立されていないこと並びにレーザ照射による光学素子の損傷が問題となっている。 本研究は、遠紫外の高出力レーザに使用できる高精度、高透過率、高レーザ耐力、高信頼性を有する平面光学素子を提供することを目的にする。そのため、上記機能を有する材料の選定、表面を創成する技術の開発、その表面の原子的構造評価、機能としての光学素子の透過率・波面歪み・レーザ耐力の測定を行うものである。 本年度は、中部大学に現有の各種超精密加工装置を使用して、フッ化物結晶CaF_2を超精密ダイヤモンド切削、超精密平面研削、フロート・ポリシングを利用した超精密研磨を行う予定であったが、2台の超精密加工装置が研究途中に故障したため、その修理と改造を行った。具体的には、超精密非球面加工装置のレーザー測長システムをZYGO社のZMI-1000に、角度計測システムをハイデンハイン社の高精度ロータリーエンコーダに、制御盤を豊田工機製AHN10-Cに代えた。これにより、超精密非球面加工装置の位置決め分解能は1nmとなった。超精密平面研削盤については、関東精機製の液温自動調整機オイルマチックを購入し、油圧オイルを高精度に制御できるようにした。超精密研磨については、予備実験でλ/3の平面度を得た。 超精密加工表面の原子構造解析をするため、新たに精密イオン研磨装置を購入した。CaF_2研磨面を切断後、その断面試料を精密イオン研磨装置で超薄片化し、超高圧透過電子顕微鏡観察を試み、原子像が観察できるようになった。
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