研究課題/領域番号 |
11450064
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
森 誠之 岩手大学, 工学部・応用化学科, 教授 (60091758)
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研究分担者 |
七尾 英孝 岩手大学, 工学部, 助手 (50312509)
今井 潤 岩手大学, 工学部, 助手 (50250634)
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キーワード | トライボ化学反応 / 高圧 / 自己修復性 / 自己潤滑性 / 赤外分光法 / X線光電子分光法 / 弾性流体潤滑 / 代替フロン |
研究概要 |
本研究では、摩擦面でトライボ化学反応を積極的に行うことにより、自己修復・潤滑性の膜形成および潤滑制御を目的とした。とくに、摩擦面で発生する高圧の効果、摩擦材料と潤滑剤のトライボケミカル反応に着目した。反応の解析には顕微赤外分光装置(micro FT-IR)および顕微X線光電子分光装置(micro XPS)を用いた。 弾性流体潤滑条件下でヘルツ接触部と呼ぶ領域の面積は約200μm、油膜厚はサブμmであり、最大圧力は1GPaである。このヘルツ域を微少反応器とし、またこの反応生成物を検出するため、ヘルツ域を形成する試験機をmicro FT-IRに組み込んだ。試料油にはアクリル酸エステルを用いた。ヘルツ域において白色の固体生成物が確認され、またその収量は摩擦面での滑り率、反応時間とともに増加した。FT-IRスペクトルより、アクリル酸エステル分子内の二重結合のピークがまっていることが確認できた。これらの結果より、試料油分子が高圧場で二重結合を開裂、そしてポリマー化することが明らかになった。このポリマーは摩擦面の直接接触をぎ潤滑性の被膜になる。 一方セラミックス同士の摩擦(ボールオンディスク摩擦)において、フッ化炭素系気体雰囲気下、摩擦荷重(3〜200N)、気体の導入圧力(〜5.3×10^3Pa)等を変えて摩擦し、その直後大気曝露なしにmicro XPSによる表面分析を行った。試片にはAl_2O_3、ZrO_2、雰囲気ガスには代替フロン134aを用いた。XPSスペクトルから摩擦痕内でのみフッ素のピークが観測できた。これは詳細な調査により金属フッ化物およびフッ素を含む重合物であることを確認した。また、これらの生成物により摩擦係数が低下した。この反応膜は摩耗しても再び生成物が膜として形成され、自己修復潤滑膜として応用できるものと考えられる。
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