研究概要 |
本年度は,微小振動を用いた情報,精密機器の製作ならびに駆動制御を行った. 1.マイクロホンを用いた振動減衰比の精密測定 昨年度製作した装置を低価格化するため,振動センサをレーザドップラ計がらマクロホンに変更した.マイクと試料との相対位置および信号処理方法を種々変化させて最適条件を求め,従来法に比べ1桁低価格で同精度の装置実現の見通しを得た. 2.振動子摩擦駆動モータ 多数の微小振動子を円板に衝突させ,摩擦により回転させるモータを製作した.構造が簡単なため,薄型化に適する.衝突力の精密測定機を製作するとともに,その力学モデルを構築し,トルク発生の最適条件を求めた.振動子の反発係数と振幅が大きいほど,また振動モードは3次モードでトルク最大となり,摩擦係数はほとんど影響しないことが分かった. 3.AFM微小振動モードによる湿潤面形状の測定 磁気ディスクや生体表面など,湿潤面形状をAFMにより精密に測定する方法を検討した.AFMの微小振動モード(タッピングモード)において,振動振幅を大きくプローブ先端半径を小さくすれば固体表面が,逆にすれば液体表面が計測できることを,マクロモデル実験により示した.また,乾燥面と湿潤面を認識し,固体表面と液体表面の両者を測定する振動制御アルゴリズムを考案した. 4.微小振動を用いた旋盤の故障診断 メカウォッチなど微小部品製造装置の故障診断法を検討した.摩耗したバイトでは工作物との摩擦により微小振動が発生し,振動初期の周波数はバイトの1次共振に一致することを理論と実験により明らかにした.またマイクロホンとフィルタの組合わせにより,摩耗を自動認識する装置を製作した.
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