研究概要 |
1.構造減衰係数精密測定法の研究 構造減衰係数の測定では,支持部減衰を排除する必要がある.このため,昨年度までに,試料を糸で釣り,マイクで非接触に振動を計測する装置を製作した.しかしこの装置では糸の揺れによりマイクの音圧が変動する.この誤差を低減するため,揺れと試料の微小振動の両者を考慮した音圧の理論式を導出した.揺れが微小と仮定して高次項を無視し,揺れ成分はAM検波により除去できることを見出した.AM検波を従来の減衰比計測プログラムに導入することで,測定誤差を5%以下(従来の1/2以下)とした. 2.微小振動を用いたバイト摩耗センサの製作 昨年度,バイトの自励振動の計測によりバイトの摩耗検出が可能なことを示した.本年度は,本原理に基づき,大きさ□30mmで1週間連続使用可能なセンサシステムを開発した.微小電力で計測するため,振動センサ,アンプ,フィルタ,コンパレータを最適化した.また摩耗検出時には矩形波信号を無線発信し,ワイヤレスで摩耗検知が可能とした.旋盤動作時の機械的・電気的ノイズがあっても誤動作しないことを確認した. 3.微小振動を用いた発電機の開発 機械や人間に装着し,その運動で自動的に発電する装置を昨年度までに製作した.コイルと永久磁石を相対運動させれば発電できるが,入力振幅により,発電効率最大となる機械インピーダンスが変化する.本年度は,振動振幅を発電量から推定し,コイル巻き数を変化させることで,入力が変化しても常にインピーダンスを最適化する方法を考案した.相対運動が直進の場合と回転の場合に対して,シミュレーションと実験を行った.
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