研究課題/領域番号 |
11450068
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 武蔵工業大学 |
研究代表者 |
染谷 常雄 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (30010680)
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研究分担者 |
三原 雄司 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (20287858)
瀧口 雅章 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (40188115)
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キーワード | 薄膜圧力センサー / 薄膜温度センサー / 表面粗さ / 付着強度 |
研究概要 |
本年度は主に、実施計画の(1)(4)を実現するためのセンサー製作法を見なおし、耐久性、信頼性を向上させた。スパッタ装置は現在所有するスパッタリング装置を用いた。 1往復動試験装置の改造と試験片の準備 (1)試験片の表面粗さと薄膜センサーの改良・・・・・試験片に薄膜センサーを形成する場合、センサーの絶縁膜であるアルミナや酸化ケイ素と試験面間の付着強度が問題となるが、従来は最大粗さRy0.4〜0.7μmの範囲内においてのみ付着強度と絶縁特性を両立させることができた。しかしRy0.4μm以下の表面粗さにおいてもバイアススパッタリングを行うことで十分な付着強度が得られることがわかった。また、試験片の表面粗さを小さくすることにより、絶縁膜を従来の2〜3μmの膜厚から1μm以下にすることが可能であることが分かった。また、センサーの構成膜にAu、アルミなどの膜を用いる必要があるが、この膜と上記の絶縁膜の付着強度は弱く、この対策として成膜時のスパッタリングガスであるアルゴンに酸素を若干量混入させることにより、十分な付着強度が得られることがわかった。(2)試験片の温度に対するセンサー性能の安定化・・・・・試験片の温度を200℃程度まで上昇させると、薄膜圧力センサーの圧力感知部の初期抵抗値が大きく変化し、計測不能となったり、温度感度が大きく、圧力測定値に与える測定誤差の増加が問題となった。本研究ではセンサー膜の酸化がこれらの原因であることを突きとめ、絶縁膜、保護膜材料を従来のアルミナ・酸化ケイ素から窒化膜に変更することで、センサー抵抗の安定化ができ、また低い温度感度を有するセンサーを製作することができ、実験に供試できることが分かった。(3)薄膜温度センサーの製作・・・・温度センサーとしてアルメルークロメルを用いた薄膜型熱電対を作製し、更に多点計測が可能となるようにセンサーのデザインを考案した。耐久性は従来製作していたクロメルコンスタンタン熱電対よりも向上し、温度-熱起電力特性も標準熱起電力とほぼ同等となった。(4)押しつけ荷重の増加に伴うセンサーの耐久性(交付申請書実施計画(4)に対応)・・・・・押しつけ荷重とセンサーの耐久性の予備実験として、既存の2円筒転がり試験機を用いて線接触下の油膜圧力測定を行った。その結果、押しつけ荷重を6000Nまで増加させた場合において、1.5GPaの測定値が得られ、またセンサーの出力はほぼ計算によって求めた最大ヘルツ圧力値と同じ結果となり、計測の信頼性が確認できた。
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