研究課題
基盤研究(B)
1.流体潤滑から混合潤滑へ推移するような潤滑条件では、しゅう動面の表面粗さが問題となる。薄膜センサを用いて油膜圧力計測をする場合、センサを取り付けるしゅう動面の表面粗さをRy=0.4μm以下にしてもバイアススパッタリングを行うことで薄膜センサの形成が可能となった。これより、.広範囲の表面粗さで油膜圧力測定が今後実現できる。2.薄膜圧力センサのリード膜材料の1つであるアルミニウム合金はこれまで付着強度が非常に弱く、センサ膜の耐久性低下の原因であった。この対策として、成膜時のスパッタリングガスとしてアルミニウムの成膜時の初期と成膜終了時のみアルゴンに酸素を導入することで、絶縁膜及び保護膜とアルミニウムの付着強度を格段に向上させることができた。3.200℃を超えるような高い温度に試験片が晒される場合、試験片に形成した薄膜圧力センサの初期抵抗が大きく変化し、温度感度の増大などが見られた。この対策として、センサの圧力感知合金に隣接する膜材料として窒化ケイ素を用いることで、この問題が大幅に低減した。しかしながら、付着強度が低下するため、今後更なる改善が必要であることがわかった。4.3.で述べた温度感度の増大に関して、200℃まで熱の履歴を与えた場合と、100℃まで熱履歴を与えた場合での銅マンガンニッケル合金(圧力感知部合金)の元素の状態をESCAで調べた。その結果、200℃まで熱履歴を与えた場合、銅マンガンニッケル合金のマンガンが偏析し、この合金に隣接する酸化物膜と結合している可能性があることがわかった。5.DLC(ダイアモンドライクカーボン)の作製を試み、アルゴンガスに水素を40%混入することで絶縁特性を確保できることが分かった。ただし、せん断強度は現在のところ低く、今後混合潤滑などの過酷な環境で使用するためには更なる改善が必要である。6.連続加重式表面性試験機を用いたしゅう動面の圧力を行った。ヘルツ接触圧力を計算上で68〜118MPaと変えて油膜圧力を計測したが、計算値の2%程度しか油膜圧力測定値を得られなかった。この原因はしゅう動面の圧力感知部形状寸法よりも、試験片と圧子による接触面積が小さいためであることがわかった。7.6.の条件と同じ負荷条件で、薄膜熱電対を用いたしゅう動面の瞬間温度計測を行った。この実験では20℃から80℃まで基板温度を変更したが、80℃の時には圧子が通過した瞬間に最大で5℃の瞬間温度上昇が計測できた。
すべて 2001 2000
すべて 雑誌論文 (6件)
Society of tribologists and Lubrication Engineers, STLE condition Monitoring 2001 (CD-ROM) (CD-ROM)
Asia-Pacific International Symposium on the Basic and Application of Plasma Technologies
ページ: 89-94
Society of Tribologists and Lubrication Engineers, STLE Condition Monitoring (CD-ROM)
Synopsis of the International Tribology Conference Nagasaki, 2000
ページ: 268
Synopsis of the International Tribology Conference Nagasaki