研究概要 |
垂直矩形流路に気泡上昇流を形成させ,超音波流速分布計測計(UVP)を用いて二相瞬時流速分布を計測し,統計処理を行い,気泡周りの液相の微視的な流動特性を調べる研究を行い,以下のことを明らかにした. (1)気泡が壁面近傍に存在するときの気泡近傍の液相構造が,流路中央付近に気泡が存在する場合と異なる. (2)流路入口からの距離が気泡上昇流の発達に関し,水単相流の場合に乱流である水流量に対してはz/D_e=30で流れは十分に発達するが,層流である水流量に対しては流れが発達するまでにz/D_e=40程度必要である. (3)連続相速度の標準偏差を乱れ強度と定義し、気泡上昇流での乱れ強度と液単相流の乱れ強度の比を乱れの促進効果と定義した.低ボイド率条件下では,水単相流の場合に乱流である場合は気泡の混入による乱れの促進効果は非常に小さいが,水単相流の場合に層流状態である場合には,少ない気泡の混入でも連続相である液相の流れ場は撹乱され,乱れの促進効果は非常に大きくなる. (4)気泡近傍には,液相流量及び気相流量によらない固定的な層(粘性底層),気泡周りの液相構造に影響を及ぼす領域(遷移領域),液相主流が支配的な領域(主流領域)が存在する. (5)気泡後方側の液相構造で大きな速度変動がランダムに起こり乱れが活発になる領域が存在し,先行気泡の影響を受ける場合と受けない場合で,気泡周りの流動特性が異なった統計的特徴を示す. UVPを用いたボイド率分布の計測精度を検討するために,ワイヤーメッシュ型の多点ボイド率・気相流速分布計測装置を開発し,垂直矩形流路内の気泡上昇流のボイド率分布と気泡速度分布の計測に適用することにより,次年度以降の研究の基盤を構築した.
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