研究概要 |
100mm×20mmの垂直矩形流路に気泡上昇流を形成させ、超音波流速分布計(UVP)を用いて二相流の瞬時流速分布を計測した。得られたデータを統計的に処理をすることで、気泡周りの液相の微視的な流動特性を調べるとともに測定体積の測定結果への影響を調べ、以下のことを明らかにした。 (1)気泡周りの速度分布は、液相流量によらない固定的な層(粘性底層)、液相主流が支配的な領域(主流領域)およびその遷移領域の三つの領域に分類することが出来る。 (2)気液界面近傍における,液相の速度勾配は流量条件に寄らずにほぼ一定となる. (3)気泡周りの流動構造は気泡レイノルズ数によって表すことができる. (4)気泡周りの流動構造は,先行気泡の影響の有無により異なり,液相の乱れは,先行気泡によって発生した後流渦のために増加し,層流から乱流への遷移が促進される. さらにUVPを用いたボイド率分布の計測精度を検討するため、ワイヤーメッシュ型の多点ボイド率・気相流速分布計測装置(WMT)を開発し、垂直矩形流路内の気泡上昇流のボイド率計測と気泡速度分布計測に適用し、以下のことを明らかにした。 (1)WMT法を、大気圧条件下で矩形流路内における気泡上昇流に適用し、瞬時局所ボイド率変化を計測し、その結果を統計処理することにより、時間平均ボイド率、気相速度分布、気泡体積分布を求める手法を確立した。 (2)気相みかけ速度はハイスピードカメラを用いた画像処理法と比較して、気相速度が1250mm/sの範囲で気相速度が低いときによく一致しているが、気相速度が高いときは30%までの偏差がある。しかしながら、ボイド率が20%までの範囲では、偏差はボイド率にほとんど依存しない。
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