分散二相乱流における粒子間相互作用を明らかにするために、水の鉛直上方格子乱流中に固体粒子を中立浮遊させ、分散粒子が連続相乱流に与える影響および分散粒子間の相互作用を実験的に調べた。 まず、直径1.00mmと1.25mmの球形ガラス粒子(密度2450kg/m^3)を中立浮遊させ、粒子体積割合をC=0〜0.5%の範囲で変化させ、分散粒子群が連続相乱流に与える影響をPIV計測によって調べた。時々刻々変化する粒子体積割合を定量化するため、レーザシート光を用いた粒子カウンタを開発・使用した。その結果、どちらの粒子直径においても、粒子体積割合の増大とともに主流方向速度変動成分が増加し、C=0.5%付近では単相流における乱れ度の4倍以上に達することが明らかになった。これに対して、スパン方向成分は高々50%の増加に留まる。連続相の瞬時速度分布より、選択的増大が主流方向に細長く伸びた速度変動領域の存在と関連していることを明らかにした。そのような特性は速度変動の2点相関関数分布に顕著に表れ、主流方向速度変動の主流方向相関(いわゆる縦相関)は粒子体積割合の増大とともに増加するが、スパン方向速度変動のそれ(いわゆる横相関)は粒子体積割合には殆ど依存しない。 選択的増大をもたらす粒子群挙動の時間変化を流れの可視化によって調べた。その結果、粒子群が主流方向の細長い領域に偏在する列状粒子集積(columnar particle accumulation : CPA)が観察され、体積割合0.05%程度から顕著になることを明らかにした。粒子相互位置関係を与える確率密度関数を求めたところ、粒子が主流方向に互いに並ぶ確率が高いことが判明した。粒子体積割合が低い条件において、二つの粒子の相互作用を可視化観察および三次元計測した。その結果、二つの粒子が主流方向に並ぶと下流側粒子が上流側粒子に接近すること(スリップストリーム現象)、下流側粒子がさらに接近すると上流側粒子がはじき飛ばされ、代わりに下流側粒子がその位置で中立浮遊を始めること(入れ替わり現象)が明らかになり、一連の粒子挙動を三次元的に定量化した。
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