研究概要 |
平成11年度までにREM PIを用いた超希薄流計測システムを,現有のYAGレーザー励起の色素レーザーを利用した光学システムおよび2次電子増倍管とボックスカー積分器などからなるイオン検出系により構築した.窒素の2R+2REMPI (2-photon resonance and 2-photon ionization)を対象としてシステムの有効性を検証するとともに,検出感度が4.0×10^<12>molecules/cm^3であることを明らかにした.このREMPIシステムを温度・密度変化の大きい真空中へ噴出する超音速自由噴流の流れ場に適用し,温度非平衡現象を明らかにした.温度計測はボルツマン・プロットにより行ったが,より高精度な計測を目的として,異なる複数のブランチを利用する方法を提案するとともに,これに利用した2光子ヘンル・ロンドン因子の比を基に理論スペクトルの実験スペクトルへのフィッティングを可能にした.また,固体表面における気体分子の挙動(面一分子干渉)を調査するために,超高真空を維持できる差動排気型真空チャンバーを製作した.今後これにREMPIシステムを適用して固体表面から散乱される気体分子を検出し,運動量およびエネルギー適応係数の取得や流束強度分布の計測を行うことを計画している.これと並行して,面一分子干渉問題をシミュレートするためのファントム粒子固体表面モデルによる解析手法を提案し,従来から実験で得られている流束強度分布,飛行時間スペクトル(TOF),吸着確率などの結果とよく一致するデータを得ている.これにより,実験とシミュレーションを相補的に融合し,面一分子干渉のに関する精緻データの取得を目指す.
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