研究課題/領域番号 |
11450077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
流体工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小森 悟 京都大学, 工学研究科, 教授 (60127082)
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研究分担者 |
三角 隆太 横浜国立大学, 工学研究院, 助手 (40334635)
長田 孝二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50274501)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 風波乱流 / 物質輸送 / 気泡 / 液滴 / リップル |
研究概要 |
約10m/s以上の高速の乱流状態で水面上を気体が流れる場合、液側では気流による強いせん断力により波状の気液界面がリップル状の渦を形成しながら激しく崩壊する。また、この波状の気液界面の崩壊に伴い液側には多数の気泡が巻き込まれ、気側には液滴が放散される。本研究では、強いせん断力により気液界面(波)が崩壊する場合の気液界面を通しての物質輸送機構を波の崩壊とそれに伴う気泡および界面の汚れと関連づけて明らかにすることを目的とした。具体的には、室内実験と数値計算を併用して、波の崩壊および気泡が物質輸送に及ぼす影響を正確に評価し、物質輸送を支配する主要因子を明らかにすることをめざした。実験としては、水槽の上に気流を発生させる風波乱流水槽を用いて、その中で炭酸ガスの放散実験を行うことにより物質輸送速度を計測した。気泡に関しては、径、速度および数密度の実測地と乱流場での気泡と液滴周りの流れの直接数値計算(DNS)により気泡と液滴の物質輸送への貢献度を評価した。さらに、気液界面上に重油を投入した場合の物質輸送速度を計測することにより、気液界面の汚れが物質輸送に及ぼす影響を明らかにした。その結果、波の崩壊時に巻き込まれる気泡が物質輸送に貢献する割合は最大でも7%程度にしかすぎないことがわかった。この結果は、波の崩壊時に気液界面を通しての物質輸送量が急激に増大する原因が気泡の巻き込みによるものだとする従来の通説を大きく覆すものである。また、重油による表面汚れが物質輸送に及ぼす影響に関しては、風速が小さく波が崩壊しない場合は表面汚れによって物質移動速度が大幅に減少するものの、風速が大きく波が崩壊する場合は物質移動速度は重油汚れがない場合と等しいことがわかった。これは、界面の崩壊により内部の汚れていないフレッシュな流体が表面を更新するため、表面汚れの影響がなくなるためであると考えられる。これらの結果は、工学的には気液接触型の工業装置の最適設計の問題、環境工学的には炭酸ガス等による地球の温暖化やエルニーヨ現象等に起因する局所的な異常気象の予測の問題を解決する上で極めて重要な知見となるものと考えられる。
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