研究概要 |
混相流体の研究はPDAやPIVの展開により進んだように見えるが,粒子まわりの流れ,流体中の粒子挙動が手法が点計測のため空間的な相互関係が取れない.またPIVによる空間にベクトルフィールドを見る手法では粒子径の情報が欠落しているために力学的に影響を与える分散相の粒子であるか,または連続相の流体を追うトレーサに用いられる粒子であるかなどの区別はつかない.ここに提唱するレーザ干渉による粒径の測定法はPIV(PTV)に用いられる巾の薄いレーザシート照射に対して約50度の傾きをもって液滴の画像を採取することにより表面から反射してくる光と内部で屈折反射して来る光の干渉で粒子画像に干渉縞を得,縞数により粒径を得る方法を開発することを目的としている.昨年度の研究成果よりは,小型30HzパルスYAGレーザと高解像度のデジタルカメラを用いて粒子の像を撮り,最適な干渉縞があらわれる条件を,光線追跡法により数値的に明らかにし,さらに実験的にレーザ光強度,レーザシート光の厚みの計測システムの諸条件が明らかにされた.本年度はこれらの実績をもとに,より高濃度場へ適応するために,受光光学系に2枚のペアなる円筒面レンズを挿入し画像を干渉縞情報を残したまま圧縮することによって重畳を避け,空間分解能の向上を図り,高濃度場における粒子像の弁別を可能とした.パルスレーザを2台用いてCCDカメラにより取得したペアなる2枚の干渉画像において,干渉縞という特徴をもった個々の粒子像に対して,径の算出にはFFTを速度の算出には相互相関法を適用し,精度良く径と速度の算出を可能にする画像処理アルゴリズムを構築した.定常噴霧の実流動場の計測を行った結果,粒径速度測定の精度に関して4%以内の誤差で,速度測定に関しても従来のレーザ流速計の測定結果と良い一致が見られ,瞬時の空間分布の計測が可能であることが示された.
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