研究概要 |
昨年度に引き続き,磁性流体中を伝播する超音波特性を詳細に調べた。昨年度の研究結果から,超音波の伝播速度および吸収率に関して異方性が存在すること,その異方性は印加磁場強度に異存すること,超音波伝播特性には印加磁場に対してヒステリシスが存在すること,等が明らかとなった。しかし,その原因の究明を行う事ができなかった。そこで,装置の改良を行い,1MHz,2MHz,4MHzの異なる周波数を用いた実験を行い,周波数によって超音波伝播の異方性が異なる事が明らかとなった。 これらの周波数依存性は内部の磁性体微粒子のクラスタ構造に関係があると考えられるので,クラスタ形成を可視化するシステムを新たに構築し,クラスタ成長過程と印加磁場の関係を調べた。その結果,クラスタ撮影画像の明度の標準偏差によって,クラスタの大きさがある程度評価出来ることが明らかとなった。また,磁場を印加後もクラスタは6時間を経ても成長し続けている事が確認できた。これは,従来あまり知られていない事であり,今後様々な磁性流体現象を解明する上で貴重な知見である。 昨年度に引き続いて,円筒容器内の磁性流体スワーリング実験も行った。昨年度の実験結果を踏まえ,磁気体積力,重力,流体慣性力を考慮した解析を行い,現象を特徴づけるパラメータを見出す事ができた。今後,UVPによる内部流速測定結果を踏まえた解析を行うことにより,詳細な流動メカニズム解明が期待できる
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