各種含酸素化合物における物性および燃焼に関わる昨年度での基礎的な特性解明を基に、本年度は実際の間欠燃焼における燃焼特性とその機構について検討し、以下の結果を得た。 (1)間欠燃焼における通常燃料への含酸素物質混合により、環境負荷物質の中の特に黒煙およびパティキュレートが著しく低減する。その低減効果は燃料中の酸素含有割合に強く支配されるが、含酸素物質の物性にも若干影響され、その沸点が低いほど著しくなる傾向があるのに対し、含酸素物質の分子構造の影響をほとんど受けないことを明らかにした。 (2)その際の黒煙は、含酸素化合物の種類にほとんど関係することなくその酸素含有割合の増加によって直線的に減少し、量論比下であっても、酸素含有割合が38wt-%を越えると完全無煙になる。したがって、完全無煙の場合は、間欠圧縮着火機関において三元触媒が利用できるため超低エミッション燃焼の可能性が示唆された。 (3)また、間欠圧縮着火機関においては、含酸素燃料の使用により通常の燃料に比べて熱効率とNOxも改善されることを実証した。前者は、燃焼期間の短縮にともなう等容度の増加と冷却損失の減少とに、また後者は、含酸素化合物における断熱火炎温度の低下にそれぞれ起因する。 (4)着火性が高く、沸点が比較的低い含酸素化合物を混合した液滴においては、その燃焼過程中において火炎にmicro-explosionと思われる一時的な乱れが生じ、最終的に液滴の燃焼が促進されて燃焼機関は著しく短縮することを実証した。 (5)その際の一時的な乱れが生じている場合の平均的な液滴の蒸発速度は沸点の低い含酸素物質のみの速度と一致し、また乱れが生ずる以前と以後における液滴の蒸発速度は通常燃料の速度と概ね一致することから、低沸点含酸素物質の一時的な沸騰機構が示唆された。
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