研究概要 |
一昨年度,昨年度に引き続き,2005年実施予定の宇宙ステーションにおける実験に向けて,ハーフゾーン液柱内マランゴニ対流に関する実験及び数値計算を行った.シリコーンオイル液柱を上部(加熱)及び下部(冷却)ディスク間に形成して,液柱両端面間に温度差を実現し,温度差表面張力対流場を発生させ,その対流速度場,温度場に関して解析を行った.マランゴニ対流の強さは,無次元数であるマランゴニ数を用いて表す.当該対流場においては,マランゴニ数が閾値を越えると,2次元定常流から3次元非定常流(振動流)へと遷移することが知られている. 実験においては,(1)高マランゴニ数付加時における流れ場の非線形解析,(2)振動流遷移後における脈動および回転振動流場の3次元PTVによる流れ場解析を行った.実験(1)において,臨界マランゴニ数の数倍に及ぶ非線形領域までを実現し,昨年度見いだした動的粒子集合現象が発生した後に,カオス的な流れ場が存在することを明らかにし,各種カオス解析によりそれぞれの流れ場の同定,解析を行った.実験(2)では,光学系の改良により,より高マランゴニ数領域の流れ場再構築に成功した.これにより,脈動および回転振動流の3次元速度場再構築を初めて行い,その定性的解析を行った. 以上の結果に関し,第2回乱流及び剪断流れ現象に関する国際シンポジウム(TSFP2),第1回界面流体力学及び物理化学システムにおけるプロセスに関する国際マランゴニ会議(IMA-conf.),第4回PIVに関する国際会議(Int.Symp.PIV01)等において成果を発表した.
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