研究概要 |
燃料が乱流拡散し圧縮自着火する過程を数値計算モデルで解析する方法として,当初計画していたCMC法と確率過程論モデルの組合わせよりもLarge Eddy Simulation(LES)が両者を兼ねるばかりでなく,少ないサブモデルで記述でき,かつ直接的に現象を表現できることがわかった.本年度はLESの定式化と自着火反応モデルの結合ならびに計算プログラムの作成を行い,既燃ガスのない状態で予備計算を行った.反応機構が比較的よく知られているオクタンについての計算結果によれば,種々の温度,濃度を持つ乱流混合塊が時間差をもって次々に自着火する様子を再現できることがわかった.さらにガス塊の壁面衝突により温度むらの大きくなることがわかった. このようなガス塊の大きさは実際にどのような乱流特性値に関わっているかを知ることはLESにおいて必要にして十分な数値格子寸法を選ぶのに重要である.そのために購入機器である3倍高調波発生システムを現有のYAGレーザに組み込み,,ジェット噴流にジアセチルを蛍光物質として混入し,乱流中で拡散する濃度を10μm程度の分解能をもって画像解析した.濃度画像を二次微分して濃度変化の境界抽出を行い,二次元フーリエ変換によりスペクトル解析をした結果,乱れの積分スケールにほぼ近い大きさ以上の濃度塊が主な成分でそれ以下の大きさの濃度塊はかなり小さいことがわかった.したがって,LESにおいて濃度に関する限り積分スケール程度を表現できる空間分解能があればよい. 以上の研究結果から,次年度に研究の目的を達成できる見通しを得た.
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