研究概要 |
本研究は高温状態での流動層の熱流動数理モデルの構築を最終目標として開始したものであり,その第1年度ではコールド状態での流動層のX線テレビによるX線ラジオグラフィ技術の確立を目指し,従来から行ってきた中性子ラジオグラフィを援用して,実験・検討を行った.具体的には 1.X線に対して減衰係数が比較的小さいアルミナのセラミックスと金属アルミニウムからなる試験装置を構成し,実験室内に設置された保護箱内に実験装置,X線テレビ装置などを設置した.層材には珪砂を用いて可視化の実証を行った.その結果,印加電圧100kV以下でも層の厚さが100mm程度あれば十分に可視化,画像処理が可能であることがわかった. 2.流動化に常温の空気を用い,縦型管群を有する流動層モデルの流動状態の可視化・実時間計測を行った.空隙率の定量化には校正用のファントムを用いることが有効であると判明した.それ以外の画像処理については中性子ラジオグラフィに対して開発したものが利用できた. 3.同じ流動層モデルを用いて原研JRR-3Mの中性子ラジオグラフィ装置によってコールドの流動状態を可視化・実時間計測し,空隙率挙動や気泡の上昇速度などかなり詳細な挙動を求め,X線ラジオグラフィとの比較検討データを得た. 以上の結果から,今回購入,装置したX線テレビシステムがかなり有効な手段であり,またそこで得られた画像から流動層の層材挙動を代表する特性量の実時間・定量計測が可能であることが実証できた.次年度には初期の予定通りホットモデルでの実験に移行する.
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