研究概要 |
本研究は高温状態での流動層の熱流動数理モデルの構築を最終目標として行っているもので,研究の2年目においてはホットモデルでの実験を行うべく,研究を開始した.流動層の高温化に対しては,装置構成上の制約がかなり大きく,装置の材質並びに内部流動を観察するための耐熱性の高い,しかもX線に対して減衰係数の大きな材質によるトレーサの作成にかなりの時間を要した.基本的には高温化,トレーサについても目途がたち,現時点で実験が進行中である.一方で,コールドモデルとの比較の必要性から,常温状態の流動層の流動特性に関する定量的データの精緻化をはかり,また画像計測の精度などについてもX線の散乱の影響をも含めて検討した.中性子ラジオグラフィについては予定通り,X線と同じ装置,同一条件でのデータ(ただし常温状態)が得られ,定量的にも定性的にも両者でよく一致することが明らかとなった.これら二つの方法で得られたデータに基づいて,流動層内に形成される気泡の大きさ,上昇速度,これらに及ぼす熱交換器などの管群の影響をドリフトフラックスモデルに基づいて明らかにした.さらには層内のボイド率の変動特性,層内部の層材の循環特性を明らかにした.高温状態でのデータを加えればより一般性のある流動層に対するドリフトフラックスモデルが構築でき,これを多次元にまで拡張することによって層内循環特性のシミュレーションが可能になる.本年度得られた特に顕著は成果は,管群の存在によって気泡径が大きく影響されること,また気泡の移動方向が管群によって大きく影響されることの2点であり,これらは流動層研究者の注目を集めるところとなった.
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