研究概要 |
本研究では,圧電材料にセンシング機能とアクチュエータ機能に着目し,簡単かつ実用的な構造物のヘルスモニタリング技術を開発することを目指している。前年度で得られた結果によると,構造物に微小応力の変化や損傷などが存在すると、構造物に取り付けられた圧電素子の電気的インピーダンス周波数応答の変化を測定すれば,損傷の状態や位置を容易に検知できることがわかった。しかしながら,圧電素子の電気的インピーダンスを計測するには高価なインピーダンスアナライザが必要であり,また,現場に使ってもらうためには計測システムが安価である必要があると同時に,小型で携帯しやすくする必要もある。本年度では,簡易型インピーダンス計測システムの開発を行った。基本的に圧電素子に抵抗あるいはコンデンサなどを直列につなげ,AD/DAボードを経由してコンピュータから圧電素子に電圧を印加すると同時に圧電素子の出力電圧も計測し,入力電圧と得られた出力電圧の位相差を高精度に計測算出する手法を開発し,さらに算出されたインピーダンス値を市販のインピーダンスアナライザで測定した結果と比較検討した。その結果、本簡易型インピーダンス計測システムを用いることでインピーダンスアナライザで測定した結果と同等な結果を得ることに成功した。さらに本計測システムは波動伝播しやすい金属材料に適用するだけでなく,御影石のような一般建築材料にも十分適用できることも実験より確認した。今後簡易型インピーダンスシステムをさらに改良し,より使いやすいものにしていきたい。
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