平成11年度は、前年度に引き続きドライビングシミュレータを用いた事故解析手法を目的とし、ドライビングシミュレータの更なる改良と様々な状況での車両挙動及びドライバビリティの解析を行った。シミュレータの再現性をより高くする為にモーション制御のアルゴリズムに並進動作を加えることを試みた。まだアルゴリズムとして不十分な点も見受けられるが、車両の始動、停止時の再現性はこれにより高まると思われる。また、被験者車両による単独走行から他の車両が存在するより複雑な交通環境を構築した。これにより実験環境が現実の道路交通の環境に近くなり、実験データの信頼性が向上すると考えられる。今回はドライバビリティ指標の一つとしてアイマークレコーダを用い、運転中のドライバの注視位置を得られより幅広い解析を可能にした。身体障害者用車両を想定した研究は、下肢が不自由な障害者を想定した車両としてジョイスティック車、および両手のみで運転できる特殊装置を取り付けた車両(以降手動運転補助装置付車両と呼ぶ)に関して研究を行った。ジョイスティック車、手動運転補助装置付車両についてドライビングシミュレータを用いて操縦性を調べた。また、ジョイスティック車については運転操作が非常に困難であるため、操作性を向上させるために研究を行った。具体的には、ジョイスティックの反力の利用、ジョイスティックの操作量と実舵角の関係を速度依存にしたり、非線形の関係にしてシミュレータで実験を行った。その結果、操作性の向上に関して一定の成果をあげる事ができた。また人の四肢末端には、各方向に対しての剛性の分布を表したスティフネス楕円が存在し、ジョイスティックの位置や反力分布が操作性に影響してくることを実験にて明らかにした。また、同時に実車にて手動運転補助装置を取り付け実験を行っている。
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