研究分担者 |
渡邉 鉄也 埼玉大学, 工学部, 講師 (70240504)
玉置 元 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (60315752)
吉村 卓也 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (50220736)
小林 博栄 石川島播磨重工(株), 原子力事業部, 研究職・課長
小川 信行 国立防災科学技術研究所, 研究室長
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研究概要 |
本年度は,本研究の目的とする大振幅抑制を可能とするダンパの開発を行ない,その性能を明らかにした.制振対象としては,地震時に変位応答が大きくなるプラント配管系などを想定しているが,従来から大振幅の抑制のために提案されている摩擦ダンパなどは,すべり長さに限界があり,高性能な減衰効果は得られなかった. 本研究で新たに提案する回転型摩擦ダンパは,配管の並進方向の運動を,ボールねじによって回転運動に変換することにより,大幅な振動エネルギの吸収をはかろうとするものである. この摩擦ダンパの特徴は次の3点である. (1)大振幅の変位応答を,ボールねじにより回転運動に変換している. (2)減衰力は回転板と固定面としてのテフロン板との摩擦により得る. (3)しゅう動部を回転板に吸着させるために永久磁石を利用する. 特に,高い減衰能を得るためには,摩擦作用によって得られる減衰力を制御する必要が生じるため,電磁石の磁力の可変制御を導入している点が特長である. 本年度は,第一段階として,ストロークが±15mm,発生荷重が800Nの小型ダンパを試作し,電磁石の吸引力を準能動制御しながら,加振実験によりダンパの制振効果を調べ,数値シミュレーションによって実験結果の検証を行なった. 得られた研究成果は以下の2点に集約される. (1)簡単な機構の摩擦ダンパを試作し,高い減衰能を得ることが可能であることを明確にした. (2)1自由度力学モデルを用いて,回転磁気摩擦ダンパの履歴特性を計算し,実験結果と良い一致を得た. 次年度は,最終年でもあり,今年度の研究をもとにしてダンパの改良点を見出し,更に高性能なダンパの開発を計画している.
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