研究概要 |
ER流体を用いたマイクロシステムを構築する際の流れ形態は,電極が移動するせん断流れモード,スクイーズ流れモード,及び電極が固定された圧力流れモードに大別でき,これら各種流れモードにおけるマイクロギャップ時のER流体のER特性とそのマイクロ流動特性を明らかにしておく必要がある.本年度は,三種類の分散系ER流体を取り上げ,0.1mm程度のマイクロギャップをもつこれら三種の流れモードにおけるマイクロ流動特性を可視化観察によって明らかにし,それぞれのER特性との関連性について検討し,マイクロシステムに適した分散系ER流体とその応用に際しての設計指針を与えた. さらに,マイクロシステムの一例としてのER流体を作動媒体とするマイクロアクチュエータを構築する前段階として,3ポートのマイクロERバルブをガラス基盤上にITO膜電極とレジストをフォトリソグラフィー法を用いて焼付けを行って構築した.構築した3ポートのマイクロERバルブは電極間隔100μm,流路幅2mmの微細な流路を有し,IN-Portが一つでOUT-Portが二つありOUT-Portの二つの流路にITO膜電極が設けられ,このITO膜電極への印加電圧を制御することによりIN-Portから流入したER流体を二つのOUT-Portへ分配しその流出流量が制御される.OUT-Portへ設けられたITO膜電極からなるマイクロERバルブをPWM制御することにより,二つのOUT-Portへの流量を連続的に制御でき,かつ流量の切換え動作も若干の遅れを伴うが的確に行えることを明らかにしている. また,マイクロERアクチュエータへのER流体の供給をするためのER流体用ダイアフラム型マイクロポンプの開発を実施した.ダイアフラムの駆動源として電極間に電場を印加することによる静電引力によるものと、PVDFのピエゾフィルムによる圧電効果を利用したものを試行してみた。両者ともにマイクロポンプ駆動源として機能することを確認できたが、駆動力の点からピエゾフィルムがより適当であると判断している。
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