研究課題/領域番号 |
11450098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40156716)
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研究分担者 |
広田 光一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (80273332)
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キーワード | 没入型ディスプレイ / ウェアラブルフォースディスプレイ(HapticGEAR) / 触覚提示 / 力覚情報 / 力覚仮想環境 |
研究概要 |
仮想空間の提示技術のひとつとして、複数のスクリーンで構成された空間に立体映像を映し出す没入型多面ディスプレイ技術が注目を集めている。しかし、現状のVRではこのような没入型ディスプレイにおいて、視覚情報がインタラクションの中心を成しているのが実状である。そこで本研究では、没入型ディスプレイにおいても触覚を提示できるような効果的なデバイスとして、ウェアラブルフォースディスプレイ(HapticGear)の開発と評価を行った。 設計の方針として、没入型仮想空間において力覚情報をユーザに提示するためには、従来の固定型の触覚提示装置ではなく、ユーザが身につけて自由に持ち歩けるような形態でなくてはならない。そのためHapticGEARの開発にあたってはユーザがデバイスを背負う形態とした。HapticGEARの背中部分には糸の張力の発生機構としてDCモータ、センサとしてロータリーエンコーダを配置し、糸は4本のパイプを通って肩と腰の4個所からユーザの前方へ張り出し、ユーザが把持するペン先に結合している。この構造により、糸の張力によってペン先に力覚を提示することができる。なお、デバイス重量は約2.4kg、ペン先の位置決め精度は約1cm、最大出力はユーザから40cm離れたところで約1.6kgfである。このデバイスを用いて没入型ディスプレイにおいて視覚と力覚を同時に重ねて提示した場合、どの程度違和感なく感じられるかを調べる実験を行った。実験では、人間の作業中心に仮想の壁を提示したが、結果は、被験者が提示された壁を触り、違和感なく認識できた壁面の法線の範囲は、平均で90度程度で標準偏差は12度程度であった。これは没入型仮想空間において物体表面をなぞるような用途としては十分な結果と言える。 このような結果により、デバイスが正しく動作し、人間に違和感の少ない力覚仮想環境を構築できることを確認した。
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