本研究は、土砂崩れなどの災害現場において生き埋めになった被災者の救出作業機能を従来の油圧パワーショベルに付加することを目的としているため、i)力制御しながら土砂・瓦礫などを撤去できる油圧ショベル先端のマスター・スレーブ制御系の構築、ii)i)の作業に時間を要する場合に備えた、瓦礫内部に直接延命用の飲料水を搬送できる駆動式生命線「能動ホース」の開発、これら2本を柱に本年度の研究を遂行してきた。その結果、以下のような研究実績を納めることができた。 i)においては、11年度提案した臨場感の優れたマスター・スレーブ制御系「パラレルインピーダンス制御系」、12度はマスターとスレーブ間の通信遅れ補償した制御系を開発した。この制御系は、スレーブの受ける土砂・瓦礫等の対称物のインピーダンス特性変化にも適応できる機能があり、さまざまな瓦礫内に被災者が存在する場合の識別などにも発展する技術となり得る。本年度はこれらを総合的にまとめ、各状況に応じた制御系の適用法を明らかにした。 またii)においては、11〜14年にかけて開発した「象の鼻」のように柔軟かつ大きな屈曲力を生成できるアクチュエータに関して、本年度は口径45mmの小型湾曲ユニットを開発し方向操舵の機能を有することを確認し、さらに瓦礫内への推進力を生成することのできる推進ユニットを2種類開発した。これらを連結して瓦礫内の推進、および延命用水供給作業の有効性も確認された。今後はさらに防塵対策も行っていく予定である。
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