研究概要 |
3角測量原理に基づくステレオカメラ法ではCCDカメラの走査線に平行な物体表面の特徴部分までの距離を検出できない.この研究は,自律走行ロボットのビジュアルサーボヘの応用と視覚障害者の眼としての応用を目指して,互いに直角配置されたペアステレオカメラで得られた走査方向の異なる一対の視差(距離に逆比例)画像を一つの正しい視差映像に高速融合し,それを情景画像と融合することにより障害物を認識するところの,新しい距離画像取得と物体認識手法の開発を目的としている. 本年度に得られた研究成果をまとめると以下のようになる. (1)CCDカメラの水平分解能は白黒800,カラー400程度であるが,この分解能を最大限度に引き出し,10ビット精度の視差検出のためと,ビデオ信号をAD変換して得られる画像状況にひずみを起こさせないため,回路のシステムクロックを14MHzに高速化する技術と,水平同期信号からの映像走査にひずみを起こさせない技術を得た. (2)来年度開発予定のペアステレオカメラ視覚装置の製作の前段階として,自律走行車に搭載可能な小型・高性能な視覚装置を製作した.これは,距離取得装置のステレオカメラに回転制御(カメラの首振り)機構を付加し,さらに広範囲に存在する対象物の方位情報を取得するための広角カメラを追加した3眼の視覚装置である. (3)ステレオカメラ一対と中心のカメラから得られる対象物情報は並列リアルタイム処理を行う電子回路により抽出され,その信頼性を向上させるためにマイクロプロセッサ(MPU)による画像融合回路を完成させた.ステレオカメラで得られた物体の距離と方位ベクトルは広角カメラの映像に融合されるが,走行車にとっては周辺の物体の3次元位置の認識と自律的な回避に用いることができる.この機構により,内部情景モデルを用いて移動対象物の信頼性の高い行動予測を行い,自律走行車の走行指針を自律的に行うことが可能となった.
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