研究課題/領域番号 |
11450110
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
斉藤 保典 信州大学, 工学部, 助教授 (40135166)
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研究分担者 |
石澤 広明 (社)長野県農村工業研究所, 次長(研究職)
野村 彰夫 信州大学, 工学部, 教授 (00115362)
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キーワード | 植生 / 樹木 / クロロフィル / レーザ誘起蛍光 / 蛍光寿命 / ライダー / リモートセンシング |
研究概要 |
平成12年度は、平成11年度に基本的な設計・製作を終了した蛍光ライダーを用いた、屋外生育樹木の蛍光寿命波形計測基礎実験を中心に行った。またその結果を基に、システムの改良を行った。 1)屋外実験用システム:高速時間変化を伴うレーザ誘起蛍光を捉えるため、誘起用レーザ光源はパルス幅30ps、検出器にはマルチチャネルプレートを内蔵した高速立ち上がり特性(185ps)の光電子増倍管を、信号処理には10Gs maxのサンプリングオシロスコープを備えた 蛍光ライダーシステムを製作した。 2)基礎実験:動作確認の実験として15m先のOHPスクリーンからの散乱光を取得し、受信光学系のアライメント調整を行った。ナノ秒532nmレーザ光を用いスクリーンからの散乱光を観察した結果、4nsの時間波形を得、製作システムで高速信号の遠隔送受信が可能であることを確認した。 3)システム改良:基礎実験結果を踏まえて次のような改良を行った。クロロフィル蛍光の685nmと745nm以外にも、532nmの散乱光も同時に取得可能な同時2波長検出光学系に改良した。このことにより、照射エネルギーの補正がパルス毎に可能となった。 4)屋外実験:蛍光ライダーシステムから約20m離れた場所のプラタナス葉を実験対象にした。その結果、クロロフィル蛍光は散乱光より約300ps遅れてピーク値を取ること、蛍光波形のパルス波形は散乱光のそれよりも230ps広がることが示された。 これらの結果より、本システムで屋外においても植物蛍光寿命の遠隔計測が可能であることが実証された。来年度以降は屋外実験継続によるデータ蓄積と、蛍光寿命解析手法の確立および寿命解析ソフトウェアの作成を手がけていく予定である。
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